”お客様ニーズ“を追い求めて業界No.1 環境整備機器の製造・販売を通じた社会貢献

兼松エンジニアリング 株式会社
  • 製造
メイン画像: ”お客様ニーズ“を追い求めて業界No.1 環境整備機器の製造・販売を通じた社会貢献

代表取締役社長 佃 維男 氏

高知には、災害現場でのインフラ復旧、道路やトンネル・下水管の清掃現場などで用いる「吸引作業車」「高圧洗浄車」の分野で日本一のシェアを誇る企業がある。

同社の製品は国内だけでなく、国外でも途上国開発やODA等の場面で広く活用されており、次々と導入国が増えている。

高知に基盤を置く地場企業であり、世界で躍進を続けるグローバル企業。

 

それが兼松エンジニアリング株式会社である。本年、「2015 がんばる中小企業・小規模事業者300社」(中小企業庁主催)を受賞。また、平成23年には、「第26回高知県地場産業大賞」(高知県産業振興センター主催)および「2011 四国産業技術大賞 革新技術賞優秀賞」(四国産業・技術振興センター主催)をW受賞するなど、公的機関からも高い評価を受けている。

労働環境への着目

兼松エンジニアリング株式会社は一九七一年の設立以降、環境設備機器の開発や製造を手掛けてきた。意外にも、その第一歩は工場用の大型扇風機の開発から始まった。

現在でも鋳物工場や製鉄所等の作業現場は高温多湿であるが、当時は現在とは比較にならないほど、労働環境が過酷であった。そこで、少しでも労働環境の改善と生産性の向上に寄与しようと開発したのが、同社最初の製品、強力水冷式クーラー『クール・スパウト』であった。

強力吸引作業車の開発

受注をいただいたお客さまの工場におもむくなかで、床に散らばる鉄くずや、空気中を舞う粉じんなど、作業過程で排出される産業廃棄物が当然のように放置されていることに気付いた。

当時も吸引作業車はあるにはあったが、あくまで掃除機のレベルであり、重量のある鉄くずや部品までは吸い取ることができなかった。どの工場でも工員による手作業での清掃が限界であった。

「何とか、お客さまの現場環境改善を当社から提案できないだろうか。」思いが日増しに強くなるなか、ある着想がわいた。「風を送り込む扇風機の構造を反対に応用すれば、強力な吸引が可能となるのではないか。」

そこからが試行錯誤の繰り返しであった。お客さまの現場の声を集め、日夜の研究を重ね、約三年の歳月を経て、一九七四年に現在のプロトタイプでもある強力吸引作業車の第一号が完成した。

市場での需要拡大

吸引作業車は全社員が交代で日本全国をキャラバンし、周知PRに汗を流した。しかし、当時は性能よりも価格が重視される傾向が強く、市場からは受け入れられなかった。オイルショックが起こり、資源問題に対する意識は高まったものの、七〇年代に「労働環境改善」「環境美化」という概念はまだ早すぎたのかも知れないとも感じた。

しかし、将来必ず必要とされる技術だと信じ、技術の練磨と研究開発、そして納入いただいたお客さまに対する全力でのフォローアップを続けた。努力が芽吹き、納入先が一気に拡がったのは開発から十年以上が経過した一九八六年であった。

同時に、大手企業の参入も相次いだ。しかし、事業の一部門として取り組む大手企業が、専門業者として長年、お客さまのニーズに沿った改良を繰り返し、オーダーメイド製造で細かい要望にまで対応してきた経験とノウハウを持つ同社に追随することはできなかった。

現在、同社の国内シェアは85%という驚異の数字となって表れている。

地元発、世界に誇れる企業として

専門業者としての揺るぎない基盤を整えていくなかにおいて、もうひとつ、地元企業として実現したいことがあった。県内企業からの部品・材料調達である。「自社だけが良ければという発想は当社には合わない。地元と一緒に成長する企業でありたい。」そこで、協力企業を同社から募り、技術指導を実施しながらその思いを現実のものとした。

昨今では、同社製品は世界二十か国以上で活用され、国内では防災や下水などインフラ整備、震災復興や東京オリンピック、リニアモーターカー事業などに関係しながら、展開を拡げている。

減圧蒸留型抽出装置

再資源化装置の開発

また、同社は、強力吸引作業車等以外にも、柑橘類廃棄物の再資源化を可能とする「減圧蒸留型抽出装置」を開発している。

同装置は、搾汁後の柑橘類の果皮から精油を抽出し、残った果皮も乾燥させて飼料用等への再資源化を可能としている。柑橘類廃棄物の再利用とリサイクル化に貢献する取組として、地域において高い評価を得ている。

昨今、精油市場の需要が拡大しており、既存装置では生産が追い付かない状況が出てきている。現在、大量生産可能な装置の製品化に向けて関係機関と連携を図り、研究開発に取り組んでいる。

「『人にやさしく、地球にもやさしい、心豊かな活力ある技術者集団』としての当社のあり方は、四十年以上に渡り、一度も揺らぐことはありませんでした。今後も、地元と地元企業を豊かにする、お客さま志向の地元企業であり続けたいと考えています。」

佃社長は、そう言葉に力を込めた。

会社情報

社名 兼松エンジニアリング 株式会社
住所 高知市布師田3981-7
代表 佃 維男
従業員数 計203名 男174 / 女29 (2018年1月時点)
設立年月 1971年9月
企業HP http://www.kanematsu-eng.jp

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