中小企業診断士の知識 2月号 在庫管理・発注方式
在庫管理には、相反する2つの目的があります。「品切れによる販売機会の損失(チャンスロス)を防ぐこと」と、「過剰在庫による保管費用のムダや資金の固定化を防ぐこと」です。 「あれば安心」と在庫を持ちすぎると、倉庫が圧迫されるだけでなく、仕入に使った現金が回収できず、資金繰りが悪化する原因になります。
2. 代表的な3つの発注方式
在庫を適正に保つためには、商品の特性に合わせて発注方法を使い分けることが重要です。
① 定期発注方式 「決まった時期(毎週月曜、毎月5日など)に、必要な量を計算して注文する」方式です。
特徴: その都度、在庫量や今後の需要予測を行って発注量を決めるため、手間はかかりますが、需要の変動に細かく対応できます。
向いている商品: 単価が高い商品や部品、流行り廃りのある重要商品(例:主力製品、生鮮食品、Aランク商品)。
② 定量発注方式(発注点方式)
「在庫が、ある一定量(発注点)まで減ったら、あらかじめ決めた量を注文する」方式です。
特徴: 在庫が減ったタイミングで自動的に発注するため、管理の手間が少なく、欠品も防ぎやすいです。
向いている商品: 主力商品ほどではないが需要があり、需要が比較的安定しているもの。Bランク品
③ダブルビン方式
定量方式を、より簡単にした方式です。同じ容量の在庫を補完する容器や棚を2つ用意しておき、片方が空になったら、その容量分を発注するという方式です。
向いている商品: 単価が安く、需要が比較的少ないもの(例:ネジ、文具、Cランク品)
すべての商品を細かく管理するのは不可能です。そこで、重要度に応じた「ABC分析」を行います。売上高や取扱金額が高い順に商品を並べ、A・B・Cの3グループに分けます。
Aグループ(主力): 売上の大部分を占める重要品目です。手間をかけてでも定期発注方式で在庫を最小限に抑えつつ欠品を防ぎます。
B・Cグループ(準主力・その他): 売上への影響が小さい品目です。手間のかからない定量発注方式やダブルビン方式で効率的に管理します。
見習い診断士コメント
在庫管理を疎かにすると、欠品による納期遅れや、過剰在庫が必ず生じます。これは、製造業に限った話ではなく、在庫を持つすべての業種に共通します。12月号の記事 で「損益分岐点」について触れましたが、在庫管理は利益を左右するだけでなく「キャッシュフロー(現金の流れ)」に直結します。売れない在庫は、会社の現金を倉庫に眠らせているのと同じです。 まずは自社の商品をABC分析し、「手間をかけて管理すべき商品」と「ルールを決めて自動的に補充する商品」を分けてみてはいかがでしょうか
記事担当 田内
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